2010/10/31

日本企業はなぜ日本に投資しないのか

きょうは、ネット上の情報をオモイッキシ掻き集めてみました。したがって、いつものBLOG調とはチイとばかり文体は違いますが、よろしければ、このGめのツブヤキに少々お付き合いください。ではさっそくイってみちゃいます。まず、約ひと月前の話しにはなりますが、アサヒビールが9月28日、中国国内で急成長を続ける台湾系食品大手「頂新グループ」の持ち株会社(以下、頂新)に出資することで合意したと発表しました。もともと両社は子会社、関連会社を通して、飲料を製造する合弁会社を設立しています。

アサヒビールはこの合弁会社の株式の一部を頂新に売却し、同じ金額で頂新の株式を購入します。アサヒビールは新たに資金を投入するわけではありませんが、持ち株会社の株式を一部(増資後発行済株式総額の6.54%)所有することで、両社の関係は強化されることになります。

併せて、アサヒビールは既に頂新の株式を20%(増資前)保有する伊藤忠商事と、従来の中国における飲料事業に加えて、国内で展開している高付加価値食品や機能性食品などを中心に、中国、台湾における食品事業の拡大を協力して目指していくことにすると発表しました。これでアサヒビール、伊藤忠商事の合計持ち株比率(増資後)は25.2%ととなり、両社は共同で中国ビジネスを強化していくことになるでしょう。

また、頂新はサンヨー食品と合弁で香港上場会社「カンシーフ」を設立しています。このカンシーフは中国国内において、即席麺、茶飲料、ミネラルウォーターでトップシェアを誇り、クラッカー、果汁飲料でも2位のシェアを占める超優良企業です。カンシーフの持つ中国での食品事業運営のノウハウは大変貴重です。

ここで上げた企業以外に、カゴメも、伊藤忠商事、頂新と野菜ジュース製造で合弁会社を設立しています。複数の日本企業が中国本土のビジネス慣習、消費者気質に詳しい台湾企業と組むことで、本土での食品ビジネスを大きく拡大させようとしている姿が浮き彫りとなっています。さらに、日本の産業全体を見渡した場合、電機電子、自動車、機械といった輸出比率が5割を超えるような企業ばかりの産業が、中国などの海外への進出はある意味で仕方がないでしょう。

しかし最近では、内需系の産業までが積極的に中国進出を進めています。TOTO、住生活グループといった住宅設備、資生堂、花王、ユニチャームなどの化粧品・ヘルスケア、伊勢丹、セブン&アイHD、イオングループといった小売業、ヤクルトなどの食品メーカーなど、代表的な内需産業までが、中国進出を加速させています。

日本では、ほぼあらゆる産業で、多くの企業が日本に投資するのではなく、中国をはじめとした海外への投資を選考しています。日本では産業の空洞化がゆっくりではありますが、確実に進んでいるのです。なぜ、日本の企業、とりわけ体力のある大企業は日本国内に投資したがらないのでしょうか。

少子高齢化で需要自体が大きく拡大する望みが薄い、法人税率が高いことなどが、その主な理由と言えるでしょう。しかし、最大の理由は、円が高すぎるからです。為替水準の評価方法の一つとして、購買力平価といった評価方法があります。つまり、日本の平均的な消費者が日本で支出する金額(円)と、もし、アメリカで同じ質の生活を送ったとすれば必要となるだろう商品を消費した際の支出金額(ドル)を比べることで計算されるレートです。

ドルで表示されるのが標準となっているのですが、IMFの資料によれば、2009年における実際の円ドルレートは購買力平価と比べ21.8%も円が高くなっています。ちなみに人民元で比べると、逆に44.0%も実際の人民元レートが購買力平価よりも安くなっています。現在の円ドルレートの水準については、いろいろな評価がありますが、少なくとも大半の事業会社からみれば、日本で設備投資して生産を拡大し、日本から輸出しようと考えられるような水準ではありません。
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みなさんは、すでにおわかりだと思いますが、日本で生産するよりも、海外の供給可能国から輸入するか、もしくは海外で生産して輸入した方が、当然のように有利であると判断されるような水準なのです。日本政府は、為替水準に対してこれまで非常に鈍感でありました。それは、為替、政治、経済に対しても全く同じです。
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さらに言わせて貰えば、と云うより勝手に言ってしまいますが、今回の尖閣諸島問題で、外交力に関しても極めて貧弱であることが露呈しています。今回の事件に対する中国の反応は、中国ウォッチャーや実業で中国と深くかかわりを持つビジネスマンや現地で生活する者からすれば、極めて自然で当たり前なものであり、何の驚きもありません。
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漁船の船長を逮捕するならば、よほどしっかりとした戦略がなければなりません。釈放するときも同じです。政府関係者は、中国がこれほど激しい反応を示すとは予想せず、また、釈放すれば相手の怒りは収まると勝手に思い込んでいたようですが、あまりにも中国を知らなさすぎます。中国というよりも、世界を知らなさすぎると言うべきかもしれません。結局、こうした日本政治の弱さが日本経済を長期にわたって低迷させている最大の要因だと思います。
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日本と最も対象的な国は中国です。世界の主要国の中で国家主権の最も強い国の経済運営がこの20年間で最もうまくいっているのです。国家の発展は自由放任の中から自然に生まれるのではなく、しっかりとした国家発展戦略と利害関係の激しく対立する国家間の調整をしっかりと行うことのできる外交力があってはじめて勝ち取ることができるのです。優良企業の経営者にしても、そのほとんどが、日本が大好きであり、心情的には出来る限り日本で設備投資をして、雇用を増やしていきたいと考えているはずです。一方、中国でのビジネスは熾烈を極めています。法律が完全に機能しているとは言い切れないところがあります。時には資本の論理すら通じないことがあります。政府すら盲目的に信じることなどできません。日本の常識などほとんど役に立たないばかりか、むしろそれを信じることは非常に危険であるとさえ言えるでしょう。
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予想もつかないようなことや、理不尽なことが頻繁に起こり、そうしたことが発生しないよういつも注意していなければなりません。問題が起きた時にはできるだけ迅速に対処しなければなりません。ほんの些細のことすら気を許すことのできない厳しい企業経営を余儀なくされるのです。それでも彼らは中国を目指すのです。なぜでしょうか?企業にとって「利益の最大化」が使命だからです。日本の優良企業が中国に投資するのです。個人投資家は、もし利益の最大化を目指すなら、日本株に長期投資すべきでしょうか?それとも…?共産主義の理念の崩壊が叫ばれて久しいが、権力集中を支持する人たちは常に民主主義を排除し、自らの権力構造を守る発想しか生んでこなかったことがこれではっきりした。さぞやマルクスさんも驚いていることでしょう。労働者を搾取から解放するための論理が、世界中から富や領土を搾取するための看板に使われているなんて